国際シンポジウム téléphone mobile et création

téléphone mobile et création

2012年6月14日•15日、ケータイ電話とクリエーションに関わる国際シンポジウムがパリ2区のINHAで行われた。主催はIRCAVとパリ第3大学。IRCAV(l’Institut de Recherche en Cinéma et Audiovisuel)の中心人物は、映画とイメージの研究およびケータイなどのニューメディアのコミュニケーション研究のフランスでの先駆者としてパリ第3大学で教鞭をとってきたRoger Odin, そして今回のオーガナイザー、Laurence Allard, Laurent Creton, アーティストでありエンジニアであるBenoit Labourdetteの4名のエキスパートたちだ。ケータイとコミュニケーションに関わる国際シンポということで、今回の討論会の様子はツイッター中継および録画され、近々全貌がMobile Créationのサイトにアップされる予定である。
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Roger Odin, Laurent Creton, Benoit Labourdette, Laurence Allard, Maurizio Ferraris

さて、プログラムは以下である。一日目は8時から8時半に受付を済ませて、8時半からイントロダクション開始、17時までというややハードな日程。2日目は9時から13時まで、5人の招待講演者による発表で幕を閉じる。

6/14
8h-8h30/ Accueil et inscriptions
8h30-9h/ Introduction : Laurent Creton, Roger Odin, Laurence Allard, Benoit Labourdette

Session 1/
9h-11h / Mobile, Ecriture et mNovel (Présidence : Roger Odin)
−L’explosion de la documentalité/Explosion of ‘Documentalité’, Maurizio Ferraris (Université de Turin)

−Le SMS entre forme et geste : analyse d’une pratique d’écriture/ Writing onmobile: gesture and forms: SMS/MMS
Joëlle Menrath (Discours et Pratiques) et Anne Jarrigeon (Université Paris Est)
m-Novels en Afrique du Sud : impliquer les lecteurs grâce aux téléphones portables/m-Novels for Africa: Engaging Readers through Mobile Phones, Steve Vosloo (yozaproject.com)

Session 2/
11h-13h / Mobile, politique et formats transmédia / Mobile, Politics and Transmedia (Présidence : Laurence Allard)
−Vidéos mobile et politique : Iranian Stories/Mobile Videos and politics: Iranian Stories, Cyril Cadars et Thibault Lefèvre (iranianstories.org/)

−Vidéos et voix des peuples : Crowdvoice/Videos and People’s Voices: Crowdvoice, Esra’a Al Shafei (crowdvoice.org/)
Session 3/ 15h-17h / Cinéma mobile et création/ Movie, Mobile and Creation (Présidence : Benoit Labourdette)
−Une nouvelle culture de la création/A New Culture of creation
Serge Tisseron (psychiatre)
Alain Fleischer, Le Fresnoy

Ateliers de films mobiles /workshops and video screenings mobile

6/15
Session 4/
9h-13h / Géolocalisation, mobilité, nomadisme et réalité augmentée / Geolocalisation, Mobility, Nomadisme and Augmented Reality (Présidence : Laurent Creton)

−Algorithmic visions: towards a new documentary practice, William Uricchio (MIT/Utrecht)
−Play -Mobile Immuable, Nicolas Nova (Near Future Laboratory-Genève)

−Bollywood’s Rythm’n Games : les adaptations de films indiens sur téléphone mobile/Bollywood on mobile games
Alexis Blanchet (Université Paris 3-IRCAV)

−La musique des portables du désert/Music of Sahara Cellphones Christopher Kirkley (sahelsounds.com/)

−Téléphone mobile et création: une approche conceptuelle/Mobile and Creation: a conceptual approach, Thomas Paris (HEC)

sculpture à INHA, Paris

ケータイ電話とクリエーションというテーマを掲げた今回のシンポジウムであったが、全体の印象として、ケータイ電話を用いたクリエーションに焦点を当てて、ケータイでこそ可能となる表現行為について掘り下げた議論を行ったセッションは無かったように思う。いっぽうで、現代のメディア環境における人々の行動学的特徴や社会学的分析は、「ユビキタス」や「モバイル」といったおなじみのアイディアを下敷きとして展開され、その内容は、2000年以降からスマートフォンの到来以前まで、日本において特殊化した現象として語られた「ケータイ文化」論をもう一度なぞり直したものに近かった。

それもそのはず、ケータイ端末を介して人々が大きなインターネットの世界に接続しつづけるという状況は、日本社会においてはimodeを先駆とする諸処のサービスのおかげで、2007年のiPhoneずっと以前から定着していたが、むしろこれは国際的にみれば特殊な状況である。一般的に、全ての人々が個人が所有する端末を介してネットに接続されたのは、スマートフォンの到来以降なのだ。国際的にみてみたならば、インターネットがパソコンからでなくケータイから一般の人々に普及した国々も実にたくさんある。たとえば近年ソーシャルネットワークを媒介とした政治的アクティヴィストの運動が相次いで起こっている、イランやエジプトといった中東の国々は典型的にそのような国に分類されるだろう。ケータイ電話の普及によってはじめて、インターネットを利用した政治活動が一般の若者に開かれた。さらにはシンポジウムでSteve Voslooによって紹介されたmNovelとは、南アフリカの子ども達にケータイのメールを通じて200語程度に区切られた小説を送り、読書経験を豊かにするための教育プログラムであり、独自のディヴァイスを利用した実験的実践をすでに展開している。読書経験を積むだけでなく、創作意欲のある書き手を育てることも同時に目的としており、この文学形態はまさに、日本社会で2002年ころから起こった、ケータイ小説という新しい文学のあり方にも深く結びつく。ケータイというディバイスは言うまでもなく、表現行為の敷居を取り払う。

Joëlle Menrath, Anne Jarrigeon, Roger Odin, Steve Vosloo, Maurizio Ferraris

2日間に及ぶシンポジウムで、おそらくは外国人としての視点から、あるいは独自のケータイ文化を育ててきた日本において1990年代と2000年代を過ごした世代としての視点から、目に留まったことが一つある。それは、フランスにおいて如何にイメージの問題が重要か、シネマというカテゴリーが重要かということである。つまり、ケータイはたしかに、Joëlle MenrathとAnne Jarrigeonによって社会学的に分析されたように、SMSに代表される「書く行為」を一変させたディバイスである。私の個人的関心の半分は、やはり文章表現のあり方を作り替えた「メール」に情熱的に注がれている。だが、今回のシンポジウムのウエイトは、文章でないもう一つの媒体、「イメージ」のほうにずっしりと据えられていたように思う。mms(写メール)を送れること、録画した画像や動画を即座にインターネット上で共有できること、そして何よりも、ケータイというディヴァイスが電話から録音機あるいはヴィデオカメラに変化したこと。たしかに、この点については、まだまだ色々な意味で分析されずにいる部分が大きい。

私のケータイ電話とその創作への関心は非常に単純だ。だいいちに、全ての人を表現行為に駆り立てることのできるディヴァイスの可能性と、その際生み出される新しくて面白い表現行為の性質や可能性を見極めること。そして、それが人々をどうやってもっとわくわくさせて、もっと幸せにさせることができるのか、考え、話し合い、たくさんの人と一緒にもっとたくさんの人を繋ぐ楽しい「できごと」を創り出すことに尽きる。

le ciel blue à travers le plafond, 天井窓ごしに見える空

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