Julio Le Parc rétrospective / ジュリオ•ル•パルク回顧展 @palais de tokyo

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Julio Le Parc

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Julio Le Parc Soleil Froid展における Julio Le Parcの回顧展は2013年2月27日より5月13日までパリのパレ•ド•トーキョー(Niveau 2)で開催されている。フランスでこれほど総合的に彼の作品を目にすることが出来る回顧展が企画されたのは初めてのことだ。Julio Le Parc(1928 -)はアルゼンチンのブエノスアイレス出身のメディアアーティスト、いわゆるメディアアートのパイオニア的存在である。とにかく、彼のアイディアの時代とのかけ離れ方は驚きである。1958年、ブエノスアイレスで美術学校を卒業したJulio Le Parcは、フランス政府奨学金を得てパリにやってくる(現在は郊外のCachanで制作を続けている)。そこで伝統的な美術の方法はキッパリと捨てて、光や物体の動き、そしてシネマに影響を受けたスクリーンを使った作品など、コンセプチュアルな作品に傾倒して行く。アート•シネティックやオプ•アートなどのアーティストがメンバーとなったG.R.A.V(Groupe de Recherche d’Art Visuel)の創立者であり、1968年にはヴェネツィア•ビエンナーレでグランプリを受賞している。

Julio Le Parcの作品は、それが1960年代や70年代に考え出され、作られたという時代的なコンテクストを見るものの脳裏から奪い去ってしまうような新しさと楽しさを秘めている。あるいは、ひょっとするとメディアアートは日々目が回るような早さで一新され続けているかのように見えて、実はそれほど本質的に一新されてはいないということを、この感覚は物語っているのだろうか。

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Julio Le Parcの表現において最も楽しいのは、アートにおけるメディウムを抜本的に変えてしまったというのは言うまでもないが、その新しい媒体である光、それが持つ性質やそれが創り出す「動き」なのである。「動き」とは予定されたものと展示される環境によって規定されるもの、あるいは鑑賞者が何らかのインパクトを及ぼすことが許されるものを含む。Julio Le Parcの作品においてはしばしばどのように展示されるかが作品経験の大部分を決定する。たとえば、無数の正方形の鏡が高い天井の壁を埋め尽くすように垂れ下がっている作品。これは非常に大きな作品なのだが、それらが壁近くに設置されているために別の場所でなら容易く起こるはずである風による揺れや、それによる反射する光の動きが見られない。

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それに対して同じコンセプトであるが、もっと小さな正方形の鏡が下から光を受けて強く反射し、もっと自由に動く仕組みになっている作品では、先ほどのものとは全く違った印象を与える。光を扱う作品が多いためにもともと展示会場は全体としてキャプションが殆ど読めないほど暗いのだが、その暗がりの中で非常によく動くこの鏡はそれらのうちの何枚かがうごく度にそれを反射して四方の壁に映る光もまた生き物のように動くので、我々はここが深い海の底で、太陽の光はかすかにしか入ってこないのだが、その光をキラキラと受けて動き回る生き物の様子を不動のまま目にしているような不思議な感覚に教われる。アクアリウムよりも照明は暗いのだが、あたかもそこで発光するクラゲが浮遊するのを眺めているような、妙なヴィジョンだ。

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これは点滅し続けるように見えるライトがそのインスタレーションに入り込む人の思考をかき乱し、おかしくしてしまう装置である。実はこの光は点滅しているのではなく、インスタレーションの中に幾つかある光源が上下に機械的に運動し続けているだけのシンプルな仕組みなのだが、そのまわりを迷路のように覆っている布の素材と目によって錯覚が起こる。たしかに、身体のコンディションによっては乗り物酔い状態になり気分が悪くなる人もいるかもしれない。点滅する光の中に長い時間留まるのに似たトランス状態に陥る人もいるだろう。あるいは、その機械的なリズムが逆説的な平安を与えてくれることすらあるかもしれない。

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Julio Le Parcの絵画作品。点描は光の色が丁寧に分布している。彼の光の捉え方をペイント化するとこのようになることは納得できる。そしてこの絵画もやはりよく見つめていると動的であり、光の色を分けて表された様々な色の点はすこしも留まってはいない。

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そして、「冷たい太陽」という展覧会タイトル(彼の展覧会のみならず総合タイトルである)を思わせる赤のプレートで形成された大きな太陽。

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この展覧会の最後のコーナーにはJulio Le Parcのたくさんのインタラクティブ作品で埋め尽くされた。驚くべきことに、これらの作品は今日でも鑑賞者が自由に触れて遊んでよく、そうすることによってしか彼の狙いは体験することができない。実際に遊べることは非常に有り難いことである。ずらりと並べられたサングラスをかけると、いつも見ているものはもう見えなくなり、何も見えないということはなく、必ず何かをどうにか目にすることが出来る。Julioグラスをかけたメディア考古学者を発見。Erkki Huhtamoさんは「メディア考古学」という新しいメディア論の提唱者である。この日は仕事でパリおられたので展覧会場でお会いした。Julio Le Parcの作品が本来の動的環境を不十分にしか伴っていないとき、(さすがに触れてはならないので)思い切りブロウして、作品に命を吹き込む。その効果は素晴らしかった。(効果のほどは下のビデオをご覧ください…)

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if you can’t watch it, click here (video on youtube)

展覧会は、13日まで開催されている。

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