ホメオパシー(同種治療)について8 リメディーの原料と効き目の例

ホメオパシー(同種治療)について 8(2019年9月6日)
リメディーの原料と効き目の例

ヒキガエル、というのだろうか。フランス語ではアマガエルのような小さいやつじゃなくてこういうドッシリしたカエルをクラポー(crapaud)という。小さいカエルであるグルヌイユ(grenouille)よりもキャラが立っていて、個人的には雨が降った後の田舎道で車に轢かれて残念な感じになっていることの多い、アイツである。

個人的な話になるが、夏からの数回の助産師診察のたびにホメオパシーをたくさん処方されたのだが、その中の一つに、上のヒキガエルから作られるリメディーRana Bufoがあった。Rana Bufoのホメオパシー利用とその効能について詳しく説明した論文も見つけて、読んで見た。ものすごい多岐にわたる効能が期待されていることがわかった。あまりに長い論文だったので簡潔にいうと、背の方から分泌される毒を抽出して作られており、皮膚の化膿やリンパ系の炎症、コントロール不能な性的興奮、知的活動の衰え、感情の制御不能など行動に関する問題にも効くらしい。

あとは、ヨーロッパ蜜蜂の全身をすりつぶしたものが元になっているApis mellifica。蜜蜂が使われているというので、主なる効用は、虫刺されのチクチクする痛みや晴れ。蜂に刺されたのと似たような症状が現れる水膨れの類。このリメディーは、即効性があるけど長くは効かないので、頻繁に摂取しないといけないらしい。

また、Phytolacca decandraは、アメリカブドウとして知られ、ブドウのような実がなるが、毒性が強い。実は子供や動物にとって毒であるが、根も茎も葉も樹液も毒を持っている。大人でも、妊娠中の女性は摂取すべきでないとされる。中毒になってしまったら、吐き気、唾液過剰、下痢や血便、呼吸困難、痙攣、死ぬ恐れもあるとか。この植物はホメオパシー的には、女性の生理不順や乳房の問題、リュウマチの炎症に使われる。特に、授乳期の女性の胸の痛みや炎症(化膿の始まり)、乳首の傷などに効くことになっているので、複数の助産師が乳腺炎のケースでこれを処方していた。

それからBryoniaは中央ヨーロッパの高地に生息するヒョウタン科の植物。耳鼻咽喉の炎症を抑える効果があるほか、肺炎にも効くとか。また炎症ということではリュウマチに効き、便秘にも効く。そして乳腺炎にも。母乳が出るようにもなるとか。この植物を食べると炎症が起こるとか、どのような毒性があるのかまだ調べられていない。

Belladonnaはイタリア語でズバリ「美しい女性」。ナス科オオカミナスビ属の植物で、小さい丸いナスっぽい実がなる。根と茎に毒性があり、葉には油が浮いていて触れただけで酷くかぶれる。トロパンアルカロイドを含み、中毒を起こすと、嘔吐、異常興奮、死に至ることすらあるらしい。恐ろしい。ちなみにこの植物はベラドンナコンという薬品として実用化されている。ホメオパシー的には、熱や炎症に関わる症状に効く。粘膜の乾燥や肌のかぶれ、更年期の体の火照りにも効くらしい。ちなみに、「美しい女性」以外にもたくさん呼び名があって、黒いボタン、怒りのナス、悪魔のさくらんぼなどと呼ばれる。中世の女性はこの毒ナスを目元のお化粧するのに使用していたらしい。

この辺りはしばしば乳腺炎を含む授乳の問題に関する外来で助産師が処方するホメオパシーである。症状や処方する助産師にもよるが、だいたい1日に3回、5粒くらい飲んでくださいということだとして、4、5種類あった場合、普段飴とか甘いお菓子とか食べないので、舌下に20粒くらいの砂糖玉をダラダラ舐めてること自体が相当甘ったるく、蜂とかカエルのことを想像してみても希釈のことがあるのでやはり甘さだけが口の中に戻ってきてしまった。たとえヒキガエルエッセンスを摂取していようとも、粉々になったミツバチのカケラを水溶液の記憶程度に飲み込んでいようとも、<毒によって毒を制す!>イメージとは程遠い甘ったるい体験なのである。

(もしホメオパシーの他のリストをご覧になる場合、http://www.doctissimo.fr/sante/homeopathie/souches-homeopathiques こちらに一覧がある。)

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